パーフロ(FFKM)シリーズをはじめとして、汎用のゴム材質では耐えることの出来ない過酷な使用環境を前提に開発された高機能ゴム材質の数々が、フロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズです。Oリングの保有する性能の多くは、ゴム材質(加硫ゴム)の特性に由来します。古い材質では対応することが出来なかった環境も、新しい材質の開発と技術進歩によって日々克服されています。より高度な性能要件を満たす最新鋭のパーフロ(FFKM)シリーズを筆頭に、性能面や価格面で新たな解を実現するアフラス(FEPM)シリーズやサイフェル(FFKO)シリーズなど、フッ素化学技術と高分子設計技術の粋を集めた豊富なラインナップで、幅広いニーズにお応えいたします。
桜シール社は、高分子材料で国内外に定評の高いAGC(旭硝子)社に代表される特定の原材料メーカーと協力しながら、Oリングに最適なゴム材質の研究・開発を行っています。FEPM(アフラス)を原材料そのものから新たなステージに導いたフロロパワーAP、今ではFFKM(パーフロ)のスタンダードとなったフロロパワーFF、FFKO(サイフェル)の持つ耐寒性や耐薬品性を最大限に引き出しつつ良好なシール性能の付与にも成功したフロロパワーFO、そしてゴムの耐熱性に於いて新たな境地を開拓したフロロパワーFFSGなどの数々は、広範に亘って蓄積された膨大なデータを素地に、「材料・配合・加工」が三位一体となって紡ぎ出した信頼と努力の結晶です。
* Oリング以外でも様々な形状の製品製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
* フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。
シリーズの分類と特色 | ||||||
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シリーズ分類 | FEPM (アフラス) AP(旧AF)系列 | 3元系FKM (3元系フッ素ゴム) 3F(一部D)系列 | FFKM-E (バイトンETP) DE系列 | |||
特色 (一部) | 耐寒:~−70℃ |
* 詳細は細分類ごとにご確認ください。
0:×(使用不可)、1:△(あまり推奨しない)、2:○(多少の影響有り)、3:◎(使用可)、4:◎(優れた耐性)、5:◎(極めて優れた耐性)
* 詳細は細分類ごとにご確認ください。
パーフロ(FFKM)シリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® FF系列 |
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耐薬品性(薬品の系統と耐性比較)
パーフロとは、ゴム材料(原料ゴム)のひとつであるパーフルオロエラストマー(パーフロロゴム)のこと、若しくはそれを用いたゴム材質(加硫ゴム)のことを指す略称として、略号のFFKM(ASTM D 1418/ISO 1629/JIS K 6397)と並んで周知されている名称です。パーフロ(FFKM)シリーズは、現存するゴムに於いて最高峰の性能を数多く兼ね備え、その中でも殊更に優秀な耐薬品性や耐熱性、耐プラズマ性から、高機能ゴム材質の中心的な存在として広く使用されています。但し、フロロパワーシリーズの中でも特に高い性能に比例して高価なものが多いので、ご使用の環境と条件(温度・圧力・接触対象など)次第では、オーバースペックを避けた下位代替(FEPMシリーズや3元系FKMシリーズなど)の検討もお薦めしております。
4フッ化エチレンパーフルオロメチルビニルエーテル共重合体
4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
* CSM=Cure Site Monomer
フロロパワー® FF <材質番号:7008> Fluoro-Power FF FP-FF | 0℃ | 230℃ | 80±5 |
フロロパワー® FFW | 0℃ | 230℃ | 80±5 | パーフロ(FFKM)材質の「標準・白色」グレードです。フロロパワーFFの白色タイプで、極めて優秀な耐薬品性を有しています。また、耐プラズマ用途では、ハロゲンラジカル(CF4, NF3, HBr, CL2, NH3, SiH4など)環境で効果を発揮します。 |
フロロパワー® FFS | 0℃ | 330℃ | 75±5 | パーフロ(FFKM)材質の「耐熱・黒色」上級グレードです。330℃クラスの耐熱性と極めて優秀な耐薬品性とを兼備し、高温飽和スチームや高温アミン系流体などにも優れた耐性を示します。また、機械的性質も良好です。フロロパワーFFSは、白色タイプのフロロパワーFFSWと並び、数ある耐熱グレードにあって中核を担う特別なゴム材質です。 |
フロロパワー® FFSW | 0℃ | 330℃ | 80±5 | パーフロ(FFKM)材質の「耐熱・白色」上級グレードです。330℃クラスの耐熱性と極めて優秀な耐薬品性とを兼備し、更には機械的性質を犠牲にすることなくノンカーボン化が実現されています。高温耐性に加えてプラズマ耐性にも優れており、CVDゲートバルブやチャンバーリッド等々に於けるハロゲンラジカル(CF4, NF3, HBr, CL2, NH3, SiH4など)環境で高い評価を集めています。 |
フロロパワー® FFSG | 0℃ | 370℃ | 85±5 | パーフロ(FFKM)材質の「耐熱」特級グレードです。現行のゴム材質としては最高峰となる370℃クラスの耐熱性と、秀でた耐薬品性を兼ね備えています。日本の科学技術が生み出した先端素材「SGCNT」の配合により、前人未到の高温域に新たな選択肢を実現いたしました。 |
フロロパワー® FFCS <材質番号:7208> Fluoro-Power FFCS FP-FFCS | 0℃ | 320℃ | 80±5 | パーフロ(FFKM)材質の「CS抑制・耐熱」グレードです。圧縮永久歪みの良化に焦点を当てた設計が為されており、繰り返しの開閉部など、動的な環境での使用に適しています。320℃クラスの耐熱性や優れた耐薬品性と併せ、特定産業の高度な要求にも応えられるゴム材質です。 |
フロロパワー® FFH90 <材質番号:7109> Fluoro-Power FFH90 FP-FFH90 | 0℃ | 280℃ | 90±5 | パーフロ(FFKM)材質の「耐圧・耐熱」グレードです。硬度がA90±5に設定されていることから強度が高く、優れた耐熱性や耐薬品性と相俟って特殊な高圧環境で実力を発揮します。また、高圧気体の急速減圧によるOリング内部の破裂を防止する性能「防爆性(耐ブリスター性)」に秀でており、公的認証も取得しているゴム材質です。 【RGDテスト合格;ISO 23936-2 認証取得】 |
フロロパワー® FFP <材質番号:7037> Fluoro-Power FFP FP-FFP | 0℃ | 230℃ | 75±5 | パーフロ(FFKM)材質の「極低溶出」グレードです。高純度薬品の製造やウェットプロセスに向けて設計された特殊グレードで、溶解性の高い液体に浸漬した際の金属イオン(3周期以降の元素)溶出量が、最も溶出量が多くなる接液の初期段階に於いても0.5ppb(0.00000005%)未満となるように設計されています。 |
フロロパワー® FFT | 0℃ | 260℃ | 70±5 | パーフロ材質の「耐プラズマ性」に特化した上級グレードです。ラジカル化したプロセスガス(O2、並びにCF4、NF3、HBr、CL2、NH3、SiH4など)に起因するクラックや重量減少を際立ったレベルで抑制し、パーティクル汚染を防止します。O2ドライエッチングに於ける静電チャックやチャンバーリッドなどで高評を得ているノンフィラー(無充填材)で純粋性の高いゴム材質です。但し、酸素ラジカルに動的な使用条件が重なる箇所では、フロロパワーFFRの方が適している場合があります。 |
フロロパワー® FFR | 0℃ | 230℃ | 70±5 | パーフロ材質の「耐プラズマ性」に特化した中級グレードです。ラジカル化したプロセスガス(O2、並びにCF4、NF3、HBr、CL2、NH3、SiH4など)に起因するクラックを抑制しつつ、重量が減少してもパーティクルが発生し難く、且つFFKMとしては低帯電性なことで吸着し難い設計が為されています。また、動的な使用にも適しており、O2ドライエッチングに於けるゲートバルブや振り子バルブなどで効果を発揮します。尚、ラジカル耐性のみを基軸にライフサイクルを検討するならフロロパワーFFTの方が確実に優れていますが、動的用途なのか静的用途なのかを加味した使い分けを推奨します。 |
フロロパワー® FFDR | 0℃ | 230℃ | 70±5 | パーフロ材質の「耐プラズマ性」に特化した下級グレードです。ラジカル化したプロセスガス(O2、並びにCF4、NF3、HBr、CL2、NH3、SiH4など)に起因するクラックや重量減少を抑制できます。フロロパワーFFRの下位互換に当たり、O2ドライエッチングに於けるゲートバルブや配管継手などで一定の支持を集めている廉価版の耐O2ラジカル材です。 |
フロロアップ® FFEX <材質番号:2548> Fluoro-Up FFEX FU-FFEX | 0℃ | 280℃ | 85±5 | パーフロ(FFKM)材質の「非粘着・低摩擦・耐熱」グレードです。フロロアップシリーズに属し、その特徴である表面潤滑性を備えながら、優れた耐熱性や耐薬品性を保持しています。また、低アウトガス性や低固着性なども有している他、基本的にガス透過性が高いパーフロ(FFKM)材質が苦手とする高真空に対するシール性能についても、若干ながら良化しています。 |
フロロパワー® FFN | 0℃ | 300℃ | 70±5 | パーフロ(FFKM)材質の「ノンカーボン・ノンメタル」グレードです。充填剤(フィラー)を全く含まず、フロロパワーFFWやフロロパワーFFSWなどの白色タイプを凌ぐ純粋性を実現しています。現在も新規案件の生産を承っておりますが、図面指定などの特別な理由が無い限りは、耐プラズマ性などを勘案した上での見直しをお薦めしております。 【半導体:ドライプロセス>ハロゲンラジカル】 |
フロロパワー® FFH | 0℃ | 300℃ | 80±5 | パーフロ(FFKM)材質の「耐熱・黒色」旧グレードです。現在は新規案件の生産を承っておりませんので、図面指定などの特別な理由が無い限りは、全ての性能が上回っている新グレードのフロロパワーFFSへの切替を推奨しています。 |
フロロパワー® FFHW | 0℃ | 280℃ | 75±5 | パーフロ(FFKM)材質の「耐熱・白色」旧グレードです。現在は新規案件の生産を承っておりませんので、図面指定などの特別な理由が無い限りは、全ての性能が上回っている新グレードのフロロパワーFFSWへの切替を推奨しています。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
サイフェル(FFKO)シリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® FO系列 |
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FFKO(サイフェル) >>> 原料ゴムの種類 |
耐薬品性(薬品の系統と耐性比較)
サイフェル(FFKO)とは、ゴム材料(原料ゴム)のひとつである信越化学工業社のサイフェル(SIFEL)®(パーフルオロポリエーテルゴム/FFKO)のこと、若しくはそれを用いたゴム材質(加硫ゴム)のことを指します。耐薬品性に優れ、極性溶剤やエーテル系溶剤、アミン系溶剤、無機薬品(酸やアルカリ)などに対して、パーフロ(FFKM)シリーズに近いレベルの強い耐性を示します。更に、特筆すべき特性として秀でた耐寒性を有しており、零下50℃を下回る低温条件下でもゴム弾性を維持することが可能です。尚、その他にも耐プラズマ性を有しているなど広範な性能を備えていますが、機械的性質やガスバリア性は劣っています。
フッ素化ポリエーテル骨格とシリコーン架橋反応の複合技術によるポリマー
フロロパワー® FO | -55℃ | 200℃ | 70±5 | サイフェル(FFKO)材質の標準グレードです。優秀な耐薬品性と、氷点下55℃の低温域にまで対応できる耐寒性とを兼ね備え、且つOリングとして良好なシール性能などに寄与する専用配合が施されています。また、一般的な工業用途は勿論のこと、耐プラズマ用途でも評価が進んでいます。 |
フロロパワー® FOP | -55℃ | 200℃ | 70±5 | サイフェル(FFKO)材質の極低溶出グレードです。高純度薬品や高純度プロセスでの使用を目的として開発されており、溶解性の高い液体に対する金属イオン(3周期以降の元素)の溶出量が、最も溶出量が多くなる接液の初期段階に於いても3ppb(0.0000003%)未満となるように設計されています。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
アフラス(FEPM)シリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® AP(旧型はAF)系列 |
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FEPM(アフラス) >>> 原料ゴムの種類 |
耐薬品性(薬品の系統と耐性比較)
アフラス(FEPM)とは、ゴム材料(原料ゴム)のひとつであるAGC旭硝子社のアフラス(Aflas)®(テトラフルオロエチレンプロピレン系フッ素ゴム/FEPM)のこと、若しくはそれを用いたゴム材質(加硫ゴム)のことを指します。耐薬品性に優れ、無機薬品(酸やアルカリ)やアミン系溶剤に強い耐性を示すほか、ゴム材質としては非常に珍しい低着香性や耐放射線性なども有しています。アフラス(FEPM)シリーズは、高機能ゴム材質として最上位に当たるパーフロ(FFKM)シリーズの下位代替、若しくは汎用の2元系フッ素ゴム(2元系FKM)材質の上位代替として選択されるほか、独自の個性的な性能から特定の用途にピンポイントで選択されることも多いゴム材質です。
4フッ化エチレンとプレピレンの2元共重合体
フロロパワー® AP | 0℃ | 230℃ | 70±5 | アフラス(FEPM)材質の標準グレードです。耐薬品性に優れ、無機薬品(強酸や強アルカリ)に強い耐性を有し、パーフロ材質を凌ぐ耐アミン性、更にはゴム材質では珍しい低着香性や耐放射線性などの性能も有しています。また、アフラスの弱点とされてきた物性が大きく向上しています。 |
フロロパワー® APHW | 0℃ | 270℃ | 75±5 | アフラス(FEPM)材質の「耐熱・白色」グレードです。270℃クラスの耐熱性、無機薬品(強酸や強アルカリ)などに対する秀でた耐薬品性、そしてノンカーボンの白色タイプでありながら優良な機械的性質を併せ持っています。一般的な工業用途は勿論のこと、耐プラズマ用途ではCVDゲートバルブや真空ポンプ周辺などのハロゲンラジカル(CF4, NF3, HBr, CL2, NH3, SiH4など)環境で、高性能と価格優位性を秀逸に両立できる旨が強く支持されています。 |
フロロパワー® APC | 0℃ | 150℃ | 55±5 | アフラス(FEPM)材質の透明色グレードです。色調に透明感を持たせることが非常に難しいフッ素ゴムに於いて、復元性の高い熱硬化性エラストマーで半透明フッ素ゴムを実現しました。また、硬度が低く設定されているので、圧縮力の低い場所での使用にも適しています。 |
※色調変化を考慮し、温度上限は低目の表記としています。 |
フロロパワー® APP | 0℃ | 200℃ | 70±5 | アフラス(FEPM)材質の極低溶出グレードです。高純度薬品や高純度プロセスでの使用を目的として開発されており、溶解性の高い液体に対する金属イオン(3周期以降の元素)の溶出量が、最も溶出量が多くなる接液の初期段階に於いても10ppb(0.000001%)未満となるように設計されています。 |
フロロパワー® AP90 | 0℃ | 230℃ | 90±5 | アフラス(FEPM)材質の耐圧グレードです。フロロパワーAPの高硬度タイプに当たり、FEPMの特徴的な性能を有しながら高い強度を保持し、高温高圧の蒸気や高圧腐食性ガスなどに耐性を有します。 |
フロロパワー® APT | N/A | N/A | N/A | ガラス基板の搬送ローラにタイヤとして取り付けるOリング専用の特殊フッ素ゴム材質です。搬送時に空回転しない摩擦性(グリップ力)を有しながら、ガラスに軌跡(タイヤ痕/ゴム痕)が残り難い(転写し難い)防汚性を兼ね備えています。尚、一般のシール用途に向けて設計された材質ではありませんので、ご注意ください。 |
フロロパワー® AF | 0℃ | 200℃ | 70±5 | アフラス(FEPM)材質の標準グレードです。旧グレードの為、全ての性能が新グレードのフロロパワーAPよりも劣っています。現在も量産しておりますが、性能と価格の両面で新グレードへの切替を推奨いたします。 |
フロロパワー® AF90 | 0℃ | 200℃ | 90±5 | アフラス(FEPM)材質の耐圧グレードです。旧グレードの為、全ての性能が新グレードのフロロパワーAP90よりも劣っています。現在も量産しておりますが、性能と価格の両面で新グレードへの切替を推奨いたします。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
3元系フッ素ゴム(3元系FKM)シリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® 3F(一部はD)系列 |
耐薬品性(薬品の系統と耐性比較)
3元系フッ素ゴム(3元系FKM)とは、ゴム材料(原料ゴム)のひとつであるフッ素ゴム(FKM/ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム)に於ける3元重合体のもの、若しくはそれを用いたゴム材質(加硫ゴム)のことを指します。汎用フッ素ゴムとして周知されている2元系フッ素ゴム(2元系FKM)と比較して認知度は低いですが、化学的にも物理的にも汎用を上回る性能を有しているだけでなく、耐寒性(低温特性)や導電性(帯電防止性)といった機能を付与したものも存在します。3元系フッ素ゴム(3元系FKM)シリーズは、高機能ゴム材質として最上位に当たるパーフロ(FFKM)シリーズの下位代替というよりは、汎用の2元系フッ素ゴム(2元系フッ素ゴム)材質の上位代替として選択されることの多いゴム材質です。
フッ化ビニリデン(VDF)6フッ化プロピレン(HFP)4フッ化エチレン(TFE)共重合体
フッ化ビニリデン(VDF)パーフルオロメチルビニルエーテル(PfMVE)4フッ化エチレン(TFE)共重合体
フロロパワー® 3F | -10℃ | 200℃ | 75±5 | 3元系フッ素ゴム材質の標準グレードです。FKM-70 (4D)が保有する耐油性や耐薬品性に加え、強酸や非極性溶剤、蒸気などに対する耐性も有しています。また、物性にも優れています。 |
フロロパワー® 3FW | -10℃ | 200℃ | 70±5 | 3元系フッ素ゴム材質の白色グレードで、フロロパワー3Fの白色配合タイプに当たります。クリーン性の確保のほか、異材質との識別目的で利用されることがあります。 |
フロロパワー® 3FH | 0℃ | 250℃ | 75±5 | 3元系フッ素ゴム材質の耐熱グレードです。250℃クラスの高温条件下での使用が可能でありながら低価格なので、フロロパワーFFSなどの下位互換として有効です。 |
フロロパワー® 3F90 | 0℃ | 200℃ | 90±5 | 3元系フッ素ゴム材質の耐圧グレードです。高温高圧の蒸気や高圧腐食性ガスなどのシールに最も適しており、防爆性(耐ブリスター性)に優れています。 <RGDテスト合格;ISO 23936-2 認証取得> |
フロロパワー® DL | -35℃ | 200℃ | 70±5 | 低温3元系フッ素ゴム材質です。優れた耐薬品性や機械特性を有しながら、通常のフッ素ゴムでは弾力性維持が不可能な低温域にも耐える耐寒性を保持しています。 |
フロロパワー® DD | -35℃ | 200℃ | 80±5 | 導電性を有する3元系フッ素ゴム材質です。電気的に絶縁である従来のフッ素ゴムに、炭素の配合で導電性が付与されています。電気抵抗が低いことから静電気が溜まりにくく、帯電が防止されます。また、3元系フッ素ゴムがベースであることから耐薬品性に優れ、金属溶出も非常に少ない材質です。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
バイトンETP(FFKM-E)シリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® DE系列 |
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FFKM-E(バイトンETP) >>> 原料ゴムの種類 |
耐薬品性(薬品の系統と耐性比較)
バイトンETPとは、ゴム材料(原料ゴム)のひとつであるデュポン(ケマーズ)社のバイトン(Viton)® エクストリーム(Extreme)™ ETPのこと、若しくはそれを用いたゴム材質(加硫ゴム)のことを指します。FFKM(パーフルオロエラストマー)にエチレンを付加した化学構造を持っており、優れた耐薬品性を有しています。尚、当社が用いているFFKM-Eの略号については、ASTM D 1418などに則して最適と思われるものが見当たらないことから、化学構造から便宜上で名付けているものです。バイトンETP(FFKM-E)シリーズは、高機能ゴム材質として最上位のパーフロ(FFKM)シリーズに対する下位代替としての需要がその大半を占めています。
エチレン・4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル3元共重合体
フロロパワー® DEB | 0℃ | 200℃ | 75±5 | バイトンETP(FFKM-E)材質の標準グレードです。パーフロ材質に近い耐薬品性を保持しながら低価格なので、フロロパワーFFの下位互換として有効な材質です。 |
フロロパワー® DEW | 0℃ | 180℃ | 75±5 | バイトンETP(FFKM-E)材質の白色グレードで、フロロパワーDEBの白色配合タイプに当たります。カーボン無使用のクリーン性で、フロロパワーFFWの下位互換として有効な材質です。 |
フロロパワー® DEP | 0℃ | 200℃ | 75±5 | バイトンETP(FFKM-E)材質の極低溶出グレードです。高純度薬品や高純度プロセスでの使用を目的として開発されており、溶解性の高い液体に浸漬した際の金属イオン(3周期以降の元素)溶出量が、最も溶出量が多くなる接液の初期段階に於いても10ppb(0.000001%)未満となるように設計されています。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
フロロシリコンゴム(FVMQ)シリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® FQ系列 |
FVMQ(フロロシリコンゴム) >>> 原料ゴムの種類 |
フロロシリコンゴム(FVMQ)とは、ゴム材料(原料ゴム)のひとつであるフルオロプロピルメチルビニルシリコーンゴム(FVMQ)のこと、若しくはそれを用いたゴム材質(加硫ゴム)のことを指します。極めて優れた耐寒性を有し、極寒地などで活躍する低温用ゴム材質の代名詞的な存在です。但し、機械的性質や耐圧性は劣っています。 |
フロロパワー® FQ <材質番号:3907> Fluoro-Power FQ FP-FQ | -70℃ | 200℃ | 70±5 | FVMQ材質です。ゴム材質中で最も優れた耐寒性を保持するフッ素化シリコンゴムで、通常のシリコンゴムには無い耐油性や耐アルコール性も有しています。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
放射線架橋フッ素ゴムシリーズ フロロパワー(Fluoro-Power)® EB架橋系列 |
放射線架橋とは、電子加速器によって高エネルギーの電子線を照射することで得られる架橋反応です。耐ラジカル性など、通常とは異なる特性の付与が可能となります。 |
フロロパワー® APR | 0℃ | 200℃ | 70±5 | ドライプロセスに於けるラジカルガスへの耐性を基軸として開発された材質ですが、現在ではフロロパワーFFTなどへの切り替えを推奨しています。 |
フロロパワー® DPR | 0℃ | 200℃ | 65±5 | ドライプロセスに於けるラジカルガスへの耐性を基軸として開発された材質ですが、現在ではフロロパワーFFTなどへの切り替えを推奨しています。 |
* フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
* 当サイトに掲載されているデータ等は、選定の目安として参考にして頂く為のものです。実際に使用する際は、様々な複合要因から一般的な仕様が当て嵌まらないこともありますので、適合性の事前確認を推奨いたします。
[フロロパワーシリーズの耐薬品性]
主要な流体(液体・気体)に対するフロロパワーシリーズ各種の耐性は、以下の通りです。より多くの流体に対するOリング材質各種の耐性については、Oリングの耐薬品性(接触流体と材質の適合性)を参照して下さい。また、プラズマ専用グレードなど特定用途に向けた一部の材質は掲載を割愛しておりますので、お含みおき願います。
薬品名 | 温度・時間 | FFCS FFH FFHW | AP APHW AP90 APC APP | DEB DEW DEP | FQ | |||
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塩酸35% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
硫酸96% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
硝酸60% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
蟻酸88% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
無水酢酸 | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | × | 〇 | △ |
水酸化ナトリウム48% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | ◎ | × |
次亜塩素酸ナトリウム5% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 |
アンモニア水28% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | △ |
テトラヒドロフラン | 40℃×168h | ◎ | ◎ | △ | × | × | △ | × |
2-メチルテトラヒドロフラン | 40℃×168h | ◎ | ◎ | △ | × | × | × | × |
アセトアルデヒド | 25℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | 〇 | × |
ホルマリン35% | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
メタノール | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | △ |
エタノール | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
ジエチルグリコール | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
エチレングリコール | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
アセトン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | × | 〇 | × |
メチルエチルケトン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | × | 〇 | × |
イソホロン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | × | 〇 | × |
エチルアセテート | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | △ | × | △ | × |
ジオキサン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | △ | × |
メチルイソブチルケトン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | × | 〇 | × |
アセチルアセトン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | × | 〇 | × |
ブチルアセテート | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | △ | × | 〇 | × |
ジエチルエーテル | 25℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | × | 〇 | × |
ヘキサン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
シクロヘキサン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
イソオクタン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
ベンゼン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | × | △ | 〇 | × |
トルエン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | × | 〇 | ◎ | × |
キシレン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | △ | △ | ◎ | × |
クロロホルム | 40℃×500h | 〇 | 〇 | △ | △ | △ | △ | × |
四塩化炭素 | 40℃×500h | 〇 | 〇 | △ | × | △ | △ | × |
トリクロロエチレン | 40℃×500h | 〇 | 〇 | △ | △ | △ | △ | × |
テトラクロロエチレン | 40℃×500h | 〇 | 〇 | △ | △ | △ | △ | × |
ジクロロメタン | 25℃×500h | ◎ | ◎ | 〇 | △ | △ | 〇 | × |
エチレンジアミン | 40℃×500h | ◎ | △ | ◎ | ◎ | × | 〇 | × |
ジメチルアセトアミド | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | △ | × | ◎ | × |
N-メチル-2-ピロリドン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | 〇 | × |
アニリン | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ジメチルホルムアミド | 40℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | 〇 | × |
ASTM オイル No.1 | 175℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ASTM オイル No.3 | 175℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ |
エンジン油 | 175℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ギヤ油 | 175℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ATF | 175℃×500h | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
スチーム | 170℃×500h | ◎ | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
◎:使用可 〇:多少の影響あり △:あまり推奨しない ×:使用不可
※上記の表はあくまで参考データですのでご確認のうえ、ご使用いただくことを推奨いたします。
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