フロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズに属するFFKM-E(バイトンETP)ゴム材質の標準タイプであるフロロパワーDEB(Fluoro-Power DEB/FP-DEB)は、耐強酸性や耐強アルカリ性をはじめとして耐薬品性に優れるOリング用のゴム材質です。無機薬品や極性溶剤にも耐性を有し、FKM-70(4D)といった汎用のFKM系材質と比べて遥かに優れた耐薬品性能を保持しています。フロロパワーFFをはじめとするパーフルオロエラストマー(FFKM)による材質と比較した場合、エーテル系溶剤やアミン系溶剤に対しては多少の影響を受けるなど、様々な性能差が浮き彫りになります。しかしながら、原材料の値段がFFKMよりも遥かに安いことから価格面で大変優れているので、使用条件に対する適合性をしっかりと考慮することが出来れば、パーフロの安価な代替材質として有効に活用することも可能です。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
* フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。
フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
フロロパワーDEBの測定値
試験種類 | 項目 | フロロパワーDEB |
---|---|---|
常態物性試験 | 硬度 (JIS-A) | 77 |
引張強さ (MPa) | 13.2 | |
伸び率 (%) | 298 | |
100%引張応力 (MPa) | 5.7 | |
耐熱老化試験 | 試験条件 | 200℃×70時間 |
硬さ変化 | +1 | |
引張強さ変化率 (%) | +15 | |
伸び変化率 (%) | -1 | |
圧縮永久歪み試験 | 試験条件 | 175℃×22時間 |
圧縮永久歪み率 (%) | 19 |
使用温度範囲
推奨値は0〜200℃です。但し、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪くなる為、シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。
圧力特性
最高圧力の推奨値は3MPaです。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性はバックアップリングの併用で向上させることが出来ます。
耐薬品性
無機薬品や極性溶剤への耐性に優れていますが、一部のエーテル系溶剤やアミン系溶剤などには適しません。Oリングの耐薬品性 (接触流体と材質の適合性)にてより多くの液体や気体に対する耐性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
アセトアルデヒド | 〇 | ジメチルアセトアミド | ◎ |
アセトン | 〇 | ジエチルエーテル | 〇 |
アニリン | ◎ | 重油 | ◎ |
アンモニア水 | ◎ | シンナー | 〇 |
IPA | ◎ | スピンドル油 | ◎ |
エタノール | ◎ | 100℃水蒸気 | ◎ |
エチレングリコール | ◎ | テトラクロロエチレン | △ |
エチレンジアミン | 〇 | テトラヒドロフラン | △ |
N-メチル-2-ピロリドン | 〇 | 灯油 | ◎ |
エマルジョン系作動油 | ◎ | トリクロロエチレン | △ |
塩酸 | ◎ | トルエン | ◎ |
エンジン油 | ◎ | 動物油 | ◎ |
王水 | ◎ | ブチルアセテート | 〇 |
過酸化水素水 | ◎ | フッ酸 | ◎ |
苛性カリ | ◎ | フレオンR134a | × |
苛性ソーダ | ◎ | フッ素オイル | × |
ガソリン | ◎ | ブレーキフルード(エーテル系) | 〇 |
カップグリス | ◎ | ヘキサン | 〇 |
ギア油 | ◎ | ベンゼン | 〇 |
キシレン | ◎ | ホルマリン | 〇 |
軽油 | ◎ | マシン油 | ◎ |
クロロホルム | △ | 水 | ◎ |
ケロシン | ◎ | 水系切削油 | ◎ |
酢酸 | 〇 | メタノール | ◎ |
酢酸エチル | 〇 | MEK | 〇 |
硝酸 | ◎ | メチルイソブチルケトン | 〇 |
植物油 | ◎ | モノエタノールアミン | 〇 |
次亜塩素酸ソーダ | ◎ | ラッカー | 〇 |
ジオキサン | △ | リン酸エステル系作動油 | ◎ |
四塩化炭素 | △ | 硫酸 | ◎ |
ジクロロメタン | 〇 | リチウムグリス | ◎ |
シリコングリス | ◎ | 鉱油系冷凍機油 | ◎ |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
主な使用箇所
取扱注意点
〒130-0021
東京都墨田区緑3丁目4番10号
桜シール本社ビル