Oリングとバックアップリング

バックアップリングとは、Oリングが高圧力によって溝の隙間に食い込んでしまう現象、所謂Oリングのはみ出しを防止する為の補助部材です。Oリングを高圧条件下で使用する場合には、硬度の高いOリング材質を選択するのが一般的ですが、バックアップリングを併用することでより優れた耐圧性を得ることが出来ます。公的規格では「JIS B2401-4 バックアップリング (旧JIS B2407 Oリング用バックアップリング)」に於いて、詳細が規定されています。技術資料として使用方法や材料、形状などを掲載いたしますので、Oリングの選定や設計でお役に立てて下さい。

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[バックアップリングの使用方法]

バックアップリングは、下図のように圧力と反対側(Oリングがはみ出してしまう側)に装着されることで機能を発揮します。従って、圧力が両方向から掛かる場合には、バックアップリングも両側に装着する必要があります。正しく装着されたバックアップリングはOリングのはみ出しを物理的に抑制するので、Oリングの耐圧性を大きく向上させることが出来ます。

バックアップリング1個使用の場合

BR1個使用.jpg

バックアップリング2個使用の場合

BR2個使用.jpg

[バックアップリングの材料]

バックアップリングの材料として最も広く使用されているは、白色のPTFE (4フッ化エチレン樹脂/フッ素樹脂/テフロン)です。その他、更に高い耐圧性を確保することの出来る硬く強度の高い材料として、充填材入りPTFEやPCTFE (ダイフロン)、PA (MCナイロン)なども用いられています。

 

[バックアップリングの形状]

代表的なバックアップリングの形状には、T1 (スパイラル)とT2 (バイアスカット)とT3 (エンドレス)の3種類があります。それぞれは価格、装着性、そして強度面で、異なる以下のような特徴を持っています。

スパイラル-寸法.jpg

 

T1(スパイラル)

渦巻状のバックアップリングです。他の形状と比較して価格は高くなりますが、装着性と強度の両面で優れています。

バイアス-寸法.jpg

 

T2(バイアスカット)

環状の一部に斜め(角度は22°~45°)の切断面を施したバックアップリングです。他の形状と比較して強度は劣りますが、低価格で装着性にも優れています。

エンドレス-寸法.jpg

 

T3(エンドレス)

環状のバックアップリングです。輪に切れ目が無いことからOリングの溝構造が分割溝でなければ装着することが出来ませんが、価格と強度の両面で最も優れています。

その他、上記の3種類と比較して流通量は少ないですが、フランジ用(平面固定用)のバックアップリングのような縦型のものなど、特殊形状のバックアップリングがあります。
 

[バックアップリングのサイズ]

バックアップリングの寸法規格は、JIS規格を中心としたOリング寸法規格に準じて構成されています。

 

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