Oリングのはみ出し

Oリングが溝の隙間からはみ出してしまう現象についてまとめた技術資料です。シール対象の圧力に対してOリングの強度が十分でないと、圧力に負けたOリングが溝隙間に噛み込んではみ出してしまいます。そのまま限界を超えてはみ出しが進行すれば、最終的にOリングはむしれて破損し、シール機能を失ってしまうことになります。そういった状況を回避する為には、溝部の隙間やシール対象の圧力、Oリングの硬度バックアップリングの使用について、十分に考慮された設計が必要になります。

 

Oリングのはみ出し関係図.jpg

直径隙間 = シリンダ内径(φD) − ピストン内径(φd)

溝部の隙間とシール対象の圧力に対するOリングのはみ出し限界値は、Oリング材質が保有する硬度によって異なります。その関係を以下に記載いたしますので、耐圧性と併せてOリングの選定や設計の参考としてお役立て下さい。尚、圧力による溝の変形が懸念される場合は、隙間の値を小さめに設計することを推奨いたします。

[Oリングの硬度とはみ出し限界(グラフ)]

Oリングはみだし限界グラフ3

[Oリングの硬度とはみ出し限界値]

硬度
(JIS-A)
使用圧力 上段:(MPa) 下段:(kgf/c㎡)
3.43以下
35 以下
3.43〜6.86
35〜70 以下
6.86〜10.29
70〜105 以下
10.29〜13.72
105〜140 以下
13.72〜20.58
140〜210 以下
A70 0.40 0.25 0.15 0.10 0.04
A80 0.60 0.50 0.35 0.20 0.15
A90 0.70 0.60 0.50 0.40 0.25

(単位:mm)

【試験条件】

  • バックアップリングは使用しないものとする
  • シール対象の圧力によるシリンダの変形は無いものとする
  • 0から提示圧力まで毎分150回のサイクルで10万回後に測定の結果とする

 

Oリングの硬度に対してシール対象の圧力や隙間の値が上記の限界値を超える場合は、バックアップリングを併用して下さい。