Oリング材質としてのPTFE(テフロン/4フッ化エチレン樹脂)は、テフロンの通称で広く知られ、非常に高い表面潤滑性と極めて優れた耐薬品性から幅広い分野で重用されています。ゴム材質のような柔軟性や復元性は有りませんが、クリープ特性によりシール面への追従性が高く、また同特性によるシール応力の低下は短時間で起こってその後は僅かなので、ガスケットとして使用されるOリングでは一定の機能を果たすことが出来ます。但し、シール材としての性能はゴム材質と比較して圧倒的に劣り、また伸縮性が無いことから溝構造によっては取り付けられないことがあります。汎用のゴム材質には無い耐薬品性や耐熱性の観点からPTFEを選択している場合は、高機能ゴム材質(フロロパワーシリーズ)の検討を推奨いたします。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
化学構造
4フッ化エチレンと呼ばれ、結合力の強いC-F結合のみで構成されていること、更には架橋点を持たない樹脂であることから外的な影響を受け難い材質で、耐熱性や耐薬品性に極めて優れています。
関連する法規制等
PTFEの物性値
試験種類 | 項目 | PTFE |
---|---|---|
機械特性 | 硬さ (ショア) | D50~55 |
引張強さ (MPa) | 13.7~34.3 | |
伸び (%) | 200~400 | |
圧縮強さ (MPa) | 11.8 | |
熱的特性 | 熱変形温度18.1MPa (℃) | 55 |
比熱 (J/kg・K) | 100 | |
線膨張係数 | 1.0×10-6 |
使用温度範囲
推奨値は-150~250℃です。但し、最高温度域に於ける連続使用では、特性の劣化が顕著になります。また、最低温度域ではクリープ性能が極端に下がります。ご注意下さい。
圧力特性
推奨最高圧力は0.5MPaです。基本的に復元性が少ないので圧力変動が多いと漏れが発生しやすくなります。
耐薬品性
殆ど全ての薬品に耐性があり、あらゆる薬品に使用できます。Oリングの耐薬品性 (接触流体と材質の適合性)にてより多くの液体や気体に対する耐性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
アセトアルデヒド | ◎ | ジメチルアセトアミド | ◎ |
アセトン | ◎ | ジエチルエーテル | ◎ |
アニリン | ◎ | 重油 | ◎ |
アンモニア水 | ◎ | シンナー | ◎ |
IPA | ◎ | スピンドル油 | ◎ |
エタノール | ◎ | 100℃水蒸気 | ◎ |
エチレングリコール | ◎ | テトラクロロエチレン | ◎ |
エチレンジアミン | ◎ | テトラヒドロフラン | ◎ |
N-メチル-2-ピロリドン | ◎ | 灯油 | ◎ |
エマルジョン系作動油 | ◎ | トリクロロエチレン | ◎ |
塩酸 | ◎ | トルエン | ◎ |
エンジン油 | ◎ | 動物油 | ◎ |
王水 | ◎ | ブチルアセテート | ◎ |
過酸化水素水 | ◎ | フッ酸 | ◎ |
苛性カリ | ◎ | フレオンR134a | × |
苛性ソーダ | ◎ | 不活性フッ素オイル | × |
ガソリン | ◎ | ブレーキフルード(エーテル系) | ◎ |
カップグリス | ◎ | ヘキサン | ◎ |
ギア油 | ◎ | ベンゼン | ◎ |
キシレン | ◎ | ホルマリン | ◎ |
軽油 | ◎ | マシン油 | ◎ |
クロロホルム | ◎ | 水 | ◎ |
ケロシン | ◎ | 水系切削油 | ◎ |
酢酸 | ◎ | メタノール | ◎ |
酢酸エチル | ◎ | MEK | ◎ |
硝酸 | ◎ | メチルイソブチルケトン | ◎ |
植物油 | ◎ | モノエタノールアミン | ◎ |
次亜塩素酸ソーダ | ◎ | ラッカー | ◎ |
ジオキサン | ◎ | りん酸エステル系作動油 | ◎ |
四塩化炭素 | ◎ | 硫酸 | ◎ |
ジクロロメタン | ◎ | リチウムグリス | ◎ |
シリコングリス | ◎ | 鉱油系冷凍機油 | ◎ |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
Oリングとしての主な使用箇所
取扱注意点
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桜シール本社ビル