フロロパワーAP(改良型FEPM/新型アフラス)の概要

フロロパワーAP_桜シールOリング.jpgフロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズに属するFEPM(アフラス)ゴム材質の標準タイプであるフロロパワーAP(Fluoro-Power AP/FP-AP)は、FEPM(テトラフルオロエチレンプロピレン系フッ素ゴム)と呼ばれる特殊フッ素ゴムの中でも最新型のFEPMを基材としたOリング用のゴム材質です。旧型のFEPM材によるフロロパワーAFと比較して全ての性能が勝っており、元から性能の高い耐熱性耐薬品性などをより良化していることに加え、特に旧型FEPM材が弱点としてきた圧縮永久歪み率などの物性が大きく向上しています。

 

アフラス/AFLAS(AGC旭硝子社)の名称で広く知られる原料ゴム(ポリマー)のFEPM(テトラフルオロエチレンプロピレン系フッ素ゴム)は、一般的なフッ素ゴム(FKM)には無い耐強酸性や耐アルカリ性、耐アミン性、耐スチーム性といった特別な耐薬品性、更には耐放射線性や電気絶縁性などの珍しい性能を有している反面、Oリングをはじめとするシール材にとって重要な性能である圧縮永久歪み率などの物性面は芳しくありませんでした。その上、圧縮成形に於いては加工性が著しく劣っていた為、形状や大きさによっては成形が困難な場合がありました。しかし、桜シール株式会社とAGC旭硝子社との共同研究で開発された改良型FEPM/新型アフラスを用いたフロロパワーAPでは、それら不適な要素を解消、打破し、且つ耐熱性や耐薬品性も従来品より向上させました。

 

フロロパワーAPは、同じく改良型FEPM/新型アフラスを基材としているフロロパワーAP90フロロパワーAPCフロロパワーAPPと比較して、シール材に適した物性面が最大限に引き出されるように設計されています。桜シール独自の配合技術により、機械的にはFKM-70(4D)と同じ感覚で使用できる程の物性を可能にしました。

 

 * Oリング以外でも様々な形状の製品製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
 * フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。

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化学構造

FP-AP.png4フッ化エチレン・プロピレン共重合体です。EPMのエチレン部分をフッ化していることからフッ化EPM、つまりFEPMと呼ばれています。EPMの長所を保持しつつ、フッ化によって耐薬品性が補強されており、フッ素ゴムに分類されながらも一般的なFKMとは性能が大きく異なります。その他、放射線を照射すると架橋が切断されて物性が低下するFKMFFKMと異なり、主鎖であるプロピレンが放射線で架橋することから、FEPMでは物性が維持、或いは良化する傾向があります。

 

 

関連する法規制等

  • 食品衛生法(厚生労働省告示第595号 旧厚生省告示第370号 ゴム製の器具又は容器包装)に適合しています。
  • RoHS指令10物質(Pb, Cd, Hg, Cr6+, PBB, PBDE, DEHP, BBP, DBP, DIBP)の含有量は閾値以下です。
  • REACH規制対象物質の意図的添加はいたしておりません。

フロロパワーAP(改良型FEPM/新型アフラス)の特性値や物性値

フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。

 

フロロパワーAPの物性値

比較用の参考資料として、FKM-70(JIS B2401:2012)及び4種D(JIS B2401:2005)の規格値を併記いたします。

試験種類 項目

新 JIS

JIS B2401:2012
FKM-70

旧 JIS

JIS B2401:2005
4種D

フロロパワーAP

(測定値)

常態物性試験 硬度 (JIS-A) 70±5 70±5 68
引張強さ (MPa) > 10.0 9.8 14.7
伸び率 (%) 170  200 212
100%引張応力 (MPa) > 2.0  1.9 6.9
耐熱老化試験 試験条件 230℃ x 72時間 230℃ x 24時間 200℃ x 70時間
硬さ変化  +5  +5 0
引張強さ変化率 (%) > -10 -10 2
伸び変化率 (%) -25  -25 -11
圧縮永久歪み試験 試験条件 200℃ x 72時間 175℃ x 22時間 200℃ x 70時間
圧縮永久歪み率 (%) < 40  40 23

 

 

使用温度範囲

推奨値は0〜230℃です。但し、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪化する為、シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。

 

 

圧力特性

最高圧力の推奨値は3MPaです。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性バックアップリングの併用で向上させることが出来ます。

 

 

耐薬品性

強酸や強アルカリ、アミン、蒸気(スチーム)などに強い耐性を示します。その他、旧型FEPMによるフロロパワーAFと比較して、全ての耐薬品性が良化しています。Oリングの耐薬品性(接触流体と材質の適合性)に於いてより多くの液体や気体に対する耐久性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。

薬品名 耐性 薬品名 耐性
アセトアルデヒド × ジメチルアセトアミド
アセトン × ジエチルエーテル ×
アニリン シンナー ×
アンモニア水 150℃水蒸気
IPA TMAH
アクリロニトリル テトラヒドロフラン ×
エタノール 灯油
エチレングリコール トリクロロエチレン
エチレンジアミン トルエン ×
N-メチル-2-ピロリドン × 動物油
塩酸 フッ酸
エンジン油 フレオンR134a ×
過酸化水素水 不活性フッ素オイル ×
苛性カリ ブレーキ油
苛性ソーダ ヘキサン
ガソリン ベンゼン ×
カップグリス マシン油
ギア油 水系切削油
キシレン モノエタノールアミン
軽油 メタノール
クロロホルム MEK ×
酢酸 メチルイソブチルケトン ×
酢酸エチル ラッカー ×
硝酸 リン酸エステル系作動油
植物油 蟻酸
次亜塩素酸ソーダ リチウムグリス
四塩化炭素 × 鉱油系冷凍機油
シリコングリス トリエチルアミン

◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない X:使用不可

注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。

 

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フロロパワーAP(改良型FEPM/新型アフラス)の使用について

主な使用箇所

  • ケミカルポンプ
  • ケミカルバルブ
  • 石油掘削機器
  • メカニカルシール
  • 食品製造設備機器
  • 放射性物質、放射線汚染水処理機器

 

 

取扱注意点

  • 耐候性に優れ、光や熱による外部影響を受けにくい材質ではありますが、念のため湿度の低い冷暗所で保存して下さい。
  • 負荷が掛からない状態で保存して下さい。伸長や圧縮状態で保存すると変形や亀裂が発生しやすくなります。
  • 推奨温度や圧力を超えてのご使用は、急激な劣化を起こします。ご注意下さい。
  • 適さない流体との接触には十分注意して下さい。

 

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