フロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズに属するFFKM(パーフロ)ゴム材質の標準白色タイプであるフロロパワーFFW(Fluoro-Power FFW/FP-FFW)は、原材料のパーフルオロエラストマー(FFKM)に由来する極めて優れた耐薬品性や耐熱性に加え、フィラー(充填物質)にカーボンブラックを含まない配合に拠って耐プラズマ性などを良化させた、フロロパワーFFの白色バージョンに当たるOリング用のゴム材質です。
フロロパワーFFWは、主に半導体や液晶などの電子産業で使用されている材質です。ラジカル化した反応性ガス(CF4、NF3、HBr、CL2、NH3、SiH4など)に因るクラックや重量減少を高い水準で抑制できることから、エッチングプロセスやCVDプロセスに於いてコンタミネーションを防ぐのに適しています。プラズマの密度や温度条件などを勘案しつつ、フロロパワーFFSWやフロロパワーAPHWなどと併せてご検討ください。但し、酸素(O2)ラジカル環境では、プラズマ専用グレードをお薦めしております。尚、電子産業の他では、黒色物質を嫌う特殊薬品の生産設備などでも重用されています。
一般にFFKM(パーフロ)ゴム材質は機械特性に劣るものが多く、特に白色配合ではカーボンブラック不使用による補強効果の低下が、その欠点をより顕著にしてしまう傾向があります。しかしフロロパワーFFWについては、良好な機械特性を持つポリマーをベースに重ねられた配合研究によって、機械特性に係る弱点が解消されています。耐熱白色タイプのフロロパワーFFSWと並び、白色でありながら動的な使用にも適したFFKM(パーフロ)ゴム材質です。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
* フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。
フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
フロロパワーFFWの測定値
試験種類 | 項目 | フロロパワーFFW |
---|---|---|
常態物性試験 | 硬度 (JIS-A) | 82 |
引張強さ (MPa) | 22.4 | |
伸び率 (%) | 183 | |
100%引張応力 (MPa) | 9.5 | |
耐熱老化試験 | 試験条件 | 200℃×70時間 |
硬さ変化 | +2 | |
引張強さ変化率 (%) | +5 | |
伸び変化率 (%) | +8 | |
圧縮永久歪み試験 | 試験条件 | 200℃×70時間 |
圧縮永久歪み率 (%) | 17 |
使用温度範囲
推奨値は0〜230℃です。但し、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪くなる為、シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。
圧力特性
最高圧力の推奨値は4MPaです。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性はバックアップリングの併用で向上させることが出来ます。
耐薬品性
極めて優れており、あらゆる薬品に使用することが可能です。Oリングの耐薬品性 (接触流体と材質の適合性)にてより多くの液体や気体に対する耐性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
アセトアルデヒド | ◎ | ジメチルアセトアミド | ◎ |
アセトン | ◎ | ジエチルエーテル | ◎ |
アニリン | ◎ | 100℃水蒸気 | ◎ |
アンモニア水 | ◎ | テトラクロロエチレン | 〇 |
IPA | ◎ | テトラヒドロフラン | ◎ |
エタノール | ◎ | トリクロロエチレン | 〇 |
エチレングリコール | ◎ | トルエン | ◎ |
エチレンジアミン | ◎ | ブチルアセテート | ◎ |
N-メチル-2-ピロリドン | ◎ | フッ酸 | ◎ |
塩酸 | ◎ | フレオンR134a | × |
王水 | ◎ | 不活性フッ素オイル | × |
過酸化水素水 | ◎ | ヘキサン | ◎ |
苛性カリ | ◎ | ベンゼン | ◎ |
苛性ソーダ | ◎ | ホルマリン | ◎ |
キシレン | ◎ | 水 | ◎ |
クロロホルム | 〇 | メタノール | ◎ |
酢酸 | ◎ | MEK | ◎ |
酢酸エチル | ◎ | メチルイソブチルケトン | ◎ |
硝酸 | ◎ | モノエタノールアミン | ◎ |
次亜塩素酸ソーダ | ◎ | 硫酸 | ◎ |
ジオキサン | ◎ | HBr | ◎ |
四塩化炭素 | 〇 | NF3 | ◎ |
ジクロロメタン | ◎ | SF6 | ◎ |
BCl3 | ◎ | SiF4 | ◎ |
CF4 | ◎ | SiH4 | ◎ |
CHF3 | ◎ | TEOS | ◎ |
ClF3 | ◎ | Ti2Cl4 | ◎ |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
主な使用箇所
取扱注意点
〒130-0021
東京都墨田区緑3丁目4番10号
桜シール本社ビル