Oリングの引張試験は、「JIS K6251 引張特性の求め方」に準じて行われるのが一般的です。Oリング材質をはじめとする加硫ゴムの為に規定された内容ですが、大筋では金属や樹脂などの引張試験の内容と大差は無く、試験片を試験機で引っ張って破断するまでの応力や伸びを測定します。この試験によって、Oリングの物性値として前述の「引張強さ」「伸び率」「100%引張応力」の3項目を求めることが出来ます。概略は次のとおりです。尚、Oリングの常態物性試験に於けるもう一つの基本項目「硬度」は、硬度試験によります。
@ 試験片
規格では形状や寸法の異なる10種類の試験片が定められていますが、Oリング材質の試験ではその中の「ダンベル状3号形」を用いるのが一般的です。尚、試験片の数は3個以上と規定されています。
ダンベル状3号形
A 試験装置
定速可動部や試験片つかみ具などが規格(JIS K6272 引張、曲げ及び圧縮試験機)を満足するものと定められています。
B 測定
試験装置に試験片を固定し、引張速度500±50mm/分で破断するまで引っ張って、各試験片の伸びと応力を測定して平均値を求めます。
C 物性値の算出
上記Bの測定値と試験片を引っ張る前の断面積を基に、各物性値を算出します。
A) 引張強さ (TSb)
試験片破断時の応力を試験片の初期断面積で除することで算出します。単位はMPaです。
B) 伸び率 (Eb)
試験片破断時の長さを初期値で除し、100を乗じることで算出します。単位は%です。
C) 所定伸び引張応力 (Mn)
試験片に所定の比率n%(JIS B2401では100%)で伸びを加えた際の応力を試験片の初期断面積で除することで算出します。単位はMPaです。
引張試験によって算出される引張強さ(TSb)と伸び率(Eb)の関係をグラフで表すと、概ね以下の図のような曲線を描きます。Oリングの所定伸び引張応力(Mn)は、100%の伸び、つまりM100に於いて求めるのが一般的ですが、M100が破断寸前(曲線最後の立ち上がり付近)に位置する場合、実用面で参考になる数値を得ることは出来ません。具体的には伸び率(Eb)が150%以下のOリング材質が該当し、硬度が高く設定されているNBR-90(1B)やFKM-90などがそれに属します。逆に伸び率(Eb)が300%以上のOリング材質に於いては、M100が安定した引張応力を示す前(曲線最初の立ち上がり付近)に位置してしまう為、やはり実用的な値を求めることは難しく(この場合、M200(200%引張応力)の方が適切な値を示します。)なります。引張試験によって導き出される引張強さ(TSb)と伸び率(Eb)、100%引張応力(M100)は、相対的に判断するべき数値であって、一元的な性能判断を可能にする指標ではありません。
引張強さと伸び率の相関グラフ

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