ニトリルゴム(NBR)

原料ゴム(ポリマー)としてのニトリルゴム(NBR)の解説です。正式名称をアクリロニトリルブタジエンゴムというこのゴム材料は、その優れた耐油性や加工性、機械特性などからOリング用としては最も多く流通している石油系合成ゴムです。中でも加工性は特に良好で、硫黄による加硫が出来て、成形性や接着性にも非常に優れており、安定した生産が可能です。比較的安価である点からも、自動車産業をはじめとする様々な量産分野のOリング材質で活用されています。


正式名称 アクリロニトリルブタジエンゴム
化学構造 ブタジエン・アクリロニトリルランダム共重合体
ポリマー比重 0.96〜1.02
代表的特長 耐油性、耐磨耗性、耐老化性
主なOリング材質 NBR-70-1(1A)
NBR-90(1B)
NBR-70-2(2A)
HNBR-70
HNBR-D-90
ほか

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化学構造<ブタジエン・アクリロニトリルランダム共重合体>と特徴

共重合組成のひとつであるアクリロニトリルのニトリル基(-CN)の極性により、最大の特徴である耐油性が生み出されています。ランダム共重合体であることから組成に含まれるアクリロニトリルとブタジエンの比率を変化させることが可能で、その比率が直接ニトリル量の変化に繋がって、耐油性のほかにも下表のように様々な特性に影響を及ぼします。その中で最も広く使用されているのは中高ニトリルで、性能バランスが良く、Oリングに限らず様々な製品に活用されています。尚、ブタジエンはジエン系ゴムの特徴として組成中に二重結合が含まれるので、耐候性耐熱性については優れていません。

 

名称 極高ニトリル 高ニトリル 中高ニトリル 中ニトリル 低ニトリル
アクリロニトリル量
(wt%)
43以上 36〜42 31〜35 25〜30 24以下
効果 大   ←―――     強度     ―――→   小
優   ←―――    耐油性    ―――→   劣
弱   ←―――    耐寒性    ―――→   強
強   ←―――    耐熱性    ―――→   弱
優   ←―――   耐摩耗性   ―――→    劣
優   ←―――   耐薬品性   ―――→    劣
低   ←―――  ガス透過性  ―――→    高
主な用途   耐燃料油用 一般耐油用   低温用
Oリング材質   NBR-70-2(2A) NBR-70-1(1A)
NBR-90(1B)
   

変性品や物理的ブレンド品

ニトリルゴム(NBR)は、ランダム共重合体であることから第3モノマーの導入や置換が容易で、それを利用して新たな特性を持たせることが出来ます。製品化されたものも数多く存在します。

 

  • カルボキシル化アクリロニトリルゴム(XNBR)

第3モノマーとしてメタクリル酸を導入したもので、耐磨耗性が強化され、高硬度品での加工性が良化しています。

XNBR.png

  • アクリロニトリルイソプレンゴム(NBIR)

ブタジエンの一部をイソプレンに置き換えたもので、強度と伸びが強化されています。

NBIR.png

  • 水素化アクリロニトリルゴム(HNBR)

ブタジエンを水素化することで、耐熱性耐候性耐薬品性を良化させています。<Oリング材質−HNBR-70

HNBR.png

  • PVCブレンドアクリロニトリルゴム(ポリブレンド)

PVC(塩化ビニル)を混合(ブレンド)し、耐オゾン性や耐候性を改良させています。尚、混合しているだけなので、化学的な結合はしていません。

 

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配合剤

ニトリルゴム(NBR)に用いられる主な配合剤には、以下のようなものが挙げられます。

配合剤 具体例
補強性充填材 カーボンブラック、珪酸類
可塑剤 鉱物油芳香族系軟化剤、合成軟化剤
架橋剤 硫黄、有機過酸化物
加硫促進剤 チウラム系、ジチオカルバミン系、チアゾール系、スルフェンアミド系
老化防止剤 アミン系、フェノール系、硫黄系
加硫促進助剤 酸化亜鉛
加工助剤 ステアリン酸

非結晶性ポリマーであることから補強性充填材の使用が必須で、逆に充填材無しでは加硫ゴム製品を作ることはできません。可塑剤に用いられる合成軟化剤は、かつてはDOPなどのフタル酸類が含まれているものが主流でしたが、現在では環境に配慮した使用規制が進み、非フタル酸類を用いることが多くなっています。架橋については、硫黄によるものでも機械特性に優れた製品が生産出来ることから、殆どのメーカーが硫黄加硫を採用しています。また、耐候性に劣る性質を補う為、老化防止剤はアミン系のものが中心に添加されています。

加硫ゴム(Oリング材質)の一般的な特徴

ニトリルゴム(NBR)をベースにした加硫ゴム(Oリング材質)は、以下のような性能を持ちます。

 

一般特性
硬度 (JIS-A)
30〜100
引張強さ(MPa) 5〜25
伸び率(%) 100〜800
反発弾性
引き裂き強さ
耐磨耗性
屈曲性
耐熱温度 (耐寒性耐熱性) -50〜120
耐老化性
耐オゾン性 ×
難燃性 ×
電気絶縁性(Ω・cm) 1010〜1011
ガスバリア性

 

耐油性耐薬品性
燃料油(ガソリン、軽油) (◎)
非極性溶剤(ベンゼン、トルエン) ×
トリクレン ×
アルコール
エーテル ×
極性溶剤(MEK、アセトン) ×
酢酸エチル ×
有機酸類 ×
高濃度無機酸類
低濃度無機酸類
高濃度アルカリ
低濃度アルカリ

原料ゴムの供給元(メーカーと商品名)

ニトリルゴム(NBR)を製造している主要な原料ゴムメーカーは下表の通りで、日本国内では日本ゼオン社やJSR社のものが広く流通しています。尚、下表に掲載されていないデュポン社(アメリカ合衆国)のハイカー(Hycar)®は、ニトリルゴム(NBR)の代名詞として知られる程に有名でしたが、現在は製造されていません。

 

メーカー 商品名
日本ゼオン株式会社/Zeon Corporation 日本国 ニポール(Nipol)®
ゼットポール(Zetpol)®【HNBR】
JSR株式会社/JSR Corporation 日本国 JSR N
DSMコポリマー社/DSM Copolymer Inc.
(Lion Chemical Capital LLC)
アメリカ合衆国 Nysyn®
日本ゼオン株式会社/Zeon Corporation 日本国
ケムチュラ社/Chemtura Corporation アメリカ合衆国 Paracril®
ランクセス社/Lanxess AG ドイツ連邦共和国

ペルブナン(Perbunan)®

ブナN(Buna-N)®

Krynac®

エリオケム社/Eliokem SAS フランス共和国 Chemigum®
オムノバソリューションズ社/Omnova Solutions Inc.
アメリカ合衆国
ポリメリヨーロッパ社/Polimeri Europa S.r.l. イタリア共和国 ユーロプレン(Europrene)® N
Synthos S.A. ポーランド共和国 KER®
Carom S.A. ルーマニア NBR
シブール社/PJSC Sibur Holding ロシア連邦

SKN

Nitrilast
Synthetics & Chemicals Ltd. インド Chemaprene
中国石油天然気社/PetroChina Company Limited 中華人民共和国 NBR
LG化学社/LG Chem Ltd. 大韓民国 NBR
錦湖石油化学社/Kumho Petrochemical Co., Ltd. 大韓民国 KNB
南帝化学工業社/NANTEX Industry Co., LTD. 中華民国(台湾) Nancar®
ペトロフレックス社/Petroflex S.A. ブラジル連邦共和国 NBR
ランクセス社/Lanxess AG ドイツ連邦共和国
Nitriflex S.A. Industria e Comercio ブラジル連邦共和国 Nitriflex N
PASA S.A. アルゼンチン共和国 Arnipol
Industrias Negromex, S.A. De C.V. メキシコ合衆国 Emulprene®


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