Oリングのつぶし代とつぶし率

Oリングのシール応力を判断する上で有効な指標であるつぶし代とつぶし率(圧縮率)について、基準値や推奨設定を記載した技術資料です。溝の設計圧縮力圧縮永久歪みなどと併せ、Oリング選定や設計の資料としてお役立て下さい。

 

つぶし代とは、Oリングを溝に装着した状態で圧縮させた距離を指します。平面固定溝のように隙間無しで締め込む場合は「つぶし代=Oリング線径−溝深さ」となり、円筒面溝のように装着隙間(クリアランス)が必要となる場合は「つぶし代=Oリング線径−溝深さ+装着隙間/2」となります。この値は、締込みトルクや摺動抵抗を決定付ける重要な値です。

 

つぶし率とは、Oリング線径に対してどれだけ圧縮させたかを表す値で、「つぶし率=つぶし代÷Oリング線径×100」となり、Oリングに対する負荷を判断することができます。つぶし率は10〜30%の範囲が適正で、40%以上になるとOリングが破損する恐れがあります。

 

Oリングの密封機構は圧縮に対するゴム弾性によって成り立っている為、つぶし代やつぶし率はOリングのシール応力に大きく影響します。

 

つぶし代の基準値(JIS規格に基づいて算出した値)

線径 円筒面溝 平面固定溝
つぶし代(㎜) つぶし率(%) つぶし代(㎜) つぶし率(%)
1.9 0.375±0.095 19.55±4.25 0.50±0.12 26.20±5.40
2.4 0.37±0.10 15.30±3.70 0.60±0.12 25.35±3.85
3.1 0.55±0.15 17.58±4.28 0.70±0.15 22.45±4.15
3.5 0.46±0.14 13.05±3.65 0.80±0.15 22.75±3.65
5.7 0.65±0.20 11.30±3.20 1.10±0.20 19.20±3.00
8.4 0.85±0.20 10.10±2.20 1.50±0.20 17.85±2.05

表の値からも分かるとおり、つぶし率は線径が細いほど大きく、太いほど小さくなる傾向があります。つまり、線径が太いほど圧縮によるシール応力が発生しやすいということが出来ます。また、運動用に用いられる円筒面溝では、摺動抵抗が大きくなってしまうのを避ける為に平面固定溝よりもつぶし率が小さく設定されています。

つぶし代の推奨設定

使用条件 つぶし代の設定
線径が細いOリングを使用 大きく
線径が太いOリングを使用 小さく
低硬度材質のOリングを使用 小さく
摺動部で使用 小さく
高圧力で使用 大きく
長時間に亘って使用 小さく
材質が弱い(歪む)溝で使用 小さく

明確な決まりがある訳ではありませんが、可能であれば表の内容を参考にしてつぶし代を設定することをお薦めします。