シリコンゴム(VMQ)

原料ゴム(ポリマー)としてのシリコンゴム(VMQなど)の解説です。有機珪素化合物を中心とした重合物で、他の合成ゴムと比較して耐熱性耐寒性耐候性に優れた性能を示します。広い使用温度域と高い柔軟性、電気絶縁性や化学的安定性に優れていることから自動車や電気機器、医療、食品加工ほか、幅広い分野でOリング材質などとして使用されています。尚、珪素を含む高分子化合物は英語表記で「Silicone」となり、珪素自体を指す「Silicon」とは異なります。よってゴム材に於ける日本語表記では「シリコーンゴム」の方が適切ながら、慣用的に「シリコンゴム」と呼ばれています。

>>>お問い合わせ

>>>販売(Oリング.com)

>>>原料ゴム(原材料)の一覧

>>>ゴム材質(Oリング)一覧

 

正式名称 シリコンゴム
化学構造 アルキルシロキサン縮合物
ポリマー比重 0.95〜0.98
代表的特長 耐熱性、耐寒性、耐候性
主なOリング材質 VMQ-70 (4C)
VMQ-50 (SI50)
フロロパワーFQ

化学構造<アルキルシロキサン縮合物>と特徴

シリコンゴムには多くの種類が有りますが、どれもシロキサン(Si−O)が主鎖となっており、シロキサンの極めて高い結合エネルギーによって優れた耐熱性や耐候性を有しています。また、この主鎖は分子間の距離が大きいことから、運動性が高く耐寒性(低温性)に優れる、気体透過性が高い、強度が低いといった性質を持っています。

 

  • MQ(ジメチルシリコンゴム)

シリコンゴムの原型ともいえる構造です。側鎖が全てメチル基で、二重結合が無いので加硫が難しく、圧縮永久歪みや耐熱性でも劣っています。よって、現在ではブレンドに用いられる程度で、単体で使用されることは殆どありません。

MQ.png


  • VMQ (ビニルメチルシリコンゴム)

一般的に流通している大半のシリコンゴムは、この構造に属します。MQのジメチルシロキサンを一部ビニルメチルシロキサンに置換したもので、側鎖に二重結合を持っているので加硫が容易です。

VMQ.png

 

  • FVMQ(フルオロビニルメチルシリコンゴム)

メチルトリフルオロプロピルシロキサンに少量のメチルビニルシロキサンを共重合した構造で、フッ素化されたことでVMQなどのシリコンゴムよりも耐熱性耐寒性が強化され、更に耐油性にも優れます。<Oリング材質−フロロパワーFQ

FVMQ.png

 

  • PVMQ(フェニルビニルメチルシリコンゴム)

VMQにジフェニルシロキサンを付加した構造で、フェニル基の効果によって優れた耐寒性を有するのをはじめ、耐熱性や機械特性、耐放射線性なども強化されています。しかし圧縮永久歪みが劣る為、Оリングで使用されることは稀です。

PVMQ.png


>>>お問い合わせ

>>>販売(Oリング.com)

>>>原料ゴム(原材料)の一覧

>>>ゴム材質(Oリング)一覧

特殊シリコンゴム−コンパウンドの種類と特徴

シリコンゴムの原材料は、その多くがプリコンパウンドの状態で流通しています。原料メーカーによって販売されるそれらの中には、汎用グレードの他にも特殊な性能を持つ様々なシリコンゴムが含まれていますが、以下はその代表例の一部です。

 

  • 高強度VMQ

シロキサンの構造上、シリコンゴムの強度はとても低いのが一般的ですが、原料改良によって強度を高め、機械特性を向上させたのが高強度VMQです。但し、高強度といってもNBRをはじめとする多くのゴム材と比較して強度は低く、また汎用のVMQよりも圧縮永久歪みが低下し、価格も高くなってしまいます。よって、Oリングに使用されることは稀です。

  • S-EPDM (エチレンプロピレン・シリコンゴム)

VMQとEPDMをブレンドしたもので、SEPとも呼ばれています。2種類のゴム材が持つ性能を中間的に有し、EPDMよりも耐熱性に優れ、且つVMQよりも優れた耐薬品性を保持しています。しかしながらそれらの性能は実質的に中途半端であり、また加工性も悪いことからОリングに用いられることは稀です。

  • 含油VMQ

VMQにシリコン油を混合したもので、加硫後の製品から油がにじみ出てくることからオイルブリードVMQとも呼ばれています。一定期間ですが表面潤滑性を向上させることが可能で、特殊用途向けOリングなどにも使用されています。

配合剤

シリコンゴム(VMQ)に用いられる主な配合剤には、以下のようなものが挙げられます。

配合剤 具体例
補強性充填材 使用しない
可塑剤 使用しない
架橋剤 標準架橋剤(有機過酸化物系)
加硫促進剤 使用しない
老化防止剤 使用しない
加硫助剤 使用しない
加工助剤 使用しない
着色剤 有機顔料/無機顔料

先にも述べましたが、シリコンゴムの原材料が原料ゴムの状態で流通することは殆どありません。原料メーカーはシリコンゴムをプリコンパウンドの状態で販売しており、更には標準加硫剤などもラインナップしています。よって、成形メーカーはそれらを指定どおりに使用するだけで一定の性能を持つOリングが成形できる反面、特性改良については汎用コンパウンドのブレンド程度でしか独自技術を介入させる余地がありません。尚、シリコンゴムは着色性が非常に良好であることから、様々な色調のコンパウンドを作ることが可能です。JIS規格 (JIS B2401)ではシリコンゴムによるOリング材質の色調を規定していませんが、汎用的に流通しているVMQ-70 (4C)VMQ-50 (50°シリコン)では、以下の色調が多く用いられています。

 

硬度 色調
70 赤色 (弁柄色/レンガ色)、青色 (濃紺色)、白色、黒色
50 シリコン原色(半透明色)、赤色 (弁柄色/レンガ色)

 

>>>お問い合わせ

>>>販売(Oリング.com)

>>>原料ゴム(原材料)の一覧

>>>ゴム材質(Oリング)一覧

加硫ゴム(Oリング材質)の一般的な特徴

シリコンゴム(VMQ)をベースにした加硫ゴム(Oリング材質)には、以下のような性能があります。温度などに対して強い反面、物性に劣る特徴が顕著に表れています。


一般特性
硬度 (JIS-A)
30〜80
引張強さ(MPa) 3〜12
伸び率(%) 50〜800
反発弾性
引き裂き強さ ×
耐摩耗性 ×
屈曲性 ×
耐熱温度 (耐寒性耐熱性) -120〜280
耐老化性
耐オゾン性
難燃性
電気絶縁性(Ω・cm)
1011〜1016
ガスバリア性 ×
耐油性耐薬品性
燃料油(ガソリン、軽油) ×
非極性溶剤(ベンゼン、トルエン) ×
トリクレン ×
アルコール
エーテル ×
極性溶剤(MEK、アセトン) ×
酢酸エチル ×
有機酸類 ×
高濃度無機酸類 ×
低濃度無機酸類
高濃度アルカリ
低濃度アルカリ

原料ゴムの供給元(メーカーと商品名)

シリコンゴム(VMQ)を製造している主要な原料ゴムメーカーは下表の通りです。日本国内では、信越化学工業社や東レ・ダウコーニング社、モメンティブ(旧GE東芝シリコーン)社のものが広く流通しています。その中でも信越化学工業社は、特性の異なる多くのグレードを取り揃えており、Oリング以外のシリコンゴム需要でも大きなシェアを獲得しています。


メーカー 商品名
信越化学工業株式会社/
 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.
日本国 信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)®
東レ・ダウコーニング株式会社/
 Dow Corning Toray Co., Ltd
日本国 シラスチック(Silastic)®
モメンティブ社/
 Momentive Performance Materials Inc.
アメリカ合衆国 シリコーン(Silicones)
ダウコーニング社/
 Dow Corning Corp.
アメリカ合衆国 ザイアメター(XIAMETER)®
ワッカー・ケミー社/
 Wacker Chemie AG
ドイツ連邦共和国 エラストジル(ELASTOSIL)®
セミコジル(SEMICOSIL)®
ブルースター・シリコーン社/
 Bluestar Silicones France SAS
フランス共和国 Silbione®
Bluesil™


>>>お問い合わせ

>>>販売(Oリング.com)

>>>原料ゴム(原材料)の一覧

>>>ゴム材質(Oリング)一覧

このページのTOPへ戻る