フロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズに属するFFKM-E(バイトンETP)ゴム材質の標準白色タイプであるフロロパワーDEW(Fluoro-Power DEW/FP-DEW)は、極性溶剤に対する耐性などの優秀な耐薬品性を有す、バイトンETPエクストリームを基材としたフロロパワーDEBの白色バージョンに当たるOリング用のゴム材質です。充填材(フィラー)にカーボンブラックが含まれていないことからパーティクルによる汚染が少なく、パーフロロエラストマー(FFKM)による材質と比較すると性能面では劣るものの低価格なので、プラズマ(ラジカル化した反応性ガス)環境ではフロロパワーFFWの下位互換として有効です。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
* フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。
フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
フロロパワーDEWの測定値
試験種類 | 項目 | フロロパワーDEW |
---|---|---|
常態物性試験 | 硬度 (JIS-A) | 74 |
引張強さ(MPa) | 12.2 | |
伸び率(%) | 352 | |
100%引張応力(MPa) | 3.4 | |
耐熱老化試験 | 試験条件 | 200℃×70時間 |
硬さ変化 | +1 | |
引張強さ変化率(%) | +23 | |
伸び変化率(%) | -30 | |
圧縮永久歪み試験 | 試験条件 | 175℃×22時間 |
圧縮永久歪み率(%) | 37 |
使用温度範囲
推奨値は0〜180℃です。但し、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪化する為、シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。
圧力特性
推奨最高圧力は3MPaです。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性はバックアップリングの併用で向上させることが出来ます。
耐薬品性
耐強酸性や耐強アルカリ性ほか、無機薬品や極性溶剤に対する耐久性も備えていますが、エーテル系溶剤やアミン系の溶剤にはFFKM程の適性はありません。Oリングの耐薬品性(接触流体と材質の適合性)に於いてより多くの液体や気体に対する耐久性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
アセトン | ◎ | テトラクロロエチレン | △ |
アンモニアガス | ◎ | テトラブロモエタン | △ |
アンモニア水 | ◎ | トリクロロエチレン | △ |
IPA | ◎ | テトラヒドロフラン | △ |
エタノール | ◎ | トルエン | ◎ |
N-メチル-2-ピロリドン | 〇 | トリエチルアミン | 〇 |
塩酸 | ◎ | 二塩化硫黄 | ◎ |
塩素 | ◎ | ニトロベンゼン | ◎ |
塩素水 | ◎ | ブチルアセテート | 〇 |
苛性カリ | ◎ | フッ酸 | ◎ |
苛性ソーダ | ◎ | フレオンR134a | × |
キシレン | ◎ | フレオンR143a | × |
クロロホルム | △ | フレオンR410a | × |
酢酸 | 〇 | ペンタクロロベンゼン | △ |
酢酸エチル | 〇 | MEK | 〇 |
硝酸 | ◎ | メチルイソブチルケトン | 〇 |
四塩化炭素 | △ | メチルセルロース | 〇 |
ジエチルエーテル | 〇 | 硫化水素 | ◎ |
臭素 | ◎ | 硫酸 | ◎ |
シンナー | 〇 | 六フッ化硫黄 | ◎ |
BCl3 | 〇 | NF3 | ◎ |
CF4 | ◎ | SF6 | ◎ |
CHF3 | ◎ | SiF4 | ◎ |
ClF3 | 〇 | SiH4 | ◎ |
HBr | ◎ | TEOS | ◎ |
NH4F | ◎ | Ti2Cl4 | 〇 |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
主な使用箇所
取扱注意点
〒130-0021
東京都墨田区緑3丁目4番10号
桜シール本社ビル