フロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズに属するFEPM(アフラス)ゴム材質の耐圧グレードの旧タイプであるフロロパワーAF90(Fluoro-Power AF90/FP-AF90)は、秀でた耐アミン性をはじめ、耐強酸性や耐強アルカリ性、耐スチーム性などの優秀な耐薬品性を有す、フロロパワーAFの高硬度タイプに当たるOリング用のゴム材質です。硬度が高く設定されていることから耐圧性に優れています。但し、現在では化学的にも物理的にも全ての性能が上回る新型FEPM(次世代アフラス)によるフロロパワーAP90が開発されている為、図面指定などで止むを得ない場合を除いて新グレードへの切替を推奨しています。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
* フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。
フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
フロロパワーAF90の測定値
試験種類 | 項目 | フロロパワーAF90 |
---|---|---|
常態物性試験 | 硬度 (JIS-A) | 89 |
引張強さ(MPa) | 19.6 | |
伸び率(%) | 130 | |
100%引張応力(MPa) | ― | |
耐熱老化試験 | 試験条件 | ― |
硬さ変化 | ― | |
引張強さ変化率(%) | ― | |
伸び変化率(%) | ― | |
圧縮永久歪み試験 | 試験条件 | 175℃×22時間 |
圧縮永久歪み率(%) | 21 |
使用温度範囲
推奨値は0〜200℃です。但し、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪化する為、シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。
圧力特性
推奨最高圧力は10MPaです。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性はバックアップリングの併用で向上させることが出来ます。
耐薬品性
耐アミン性に秀でている他、強酸や強アルカリに対する耐久性を有しています。Oリングの耐薬品性(接触流体と材質の適合性)に於いてより多くの液体や気体に対する耐久性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
アセトアルデヒド | × | ジメチルアセトアミド | ◎ |
アセトン | × | ジエチルエーテル | × |
アニリン | ◎ | シンナー | × |
アンモニア水 | ◎ | 150℃水蒸気 | ◎ |
IPA | ◎ | テトラクロロエチレン | △ |
アクリロニトリル | 〇 | テトラヒドロフラン | × |
エタノール | ◎ | 天然ガス | ◎ |
エチレングリコール | ◎ | 灯油 | △ |
エチレンジアミン | ◎ | トリクロロエチレン | △ |
N-メチル-2-ピロリドン | × | トルエン | × |
塩酸 | ◎ | トリデシルアミン | 〇 |
エンジン油 | 〇 | フッ酸 | ◎ |
過酸化水素水 | ◎ | フレオンR134a | × |
苛性カリ | ◎ | ブレーキフルード(エーテル系) | × |
苛性ソーダ | ◎ | ヘキサン | 〇 |
ガソリン | × | ベンゼン | × |
カップグリス | ◎ | ペンタメチレンジアミン | ◎ |
ギア油 | 〇 | 水系切削油 | ◎ |
キシレン | × | モノエタノールアミン | ◎ |
軽油 | △ | メタノール | 〇 |
クロロホルム | △ | MEK | × |
酢酸 | △ | メチルイソブチルケトン | × |
酢酸エチル | △ | ラッカー | × |
硝酸 | ◎ | リン酸エステル系作動油 | ◎ |
植物油 | 〇 | 硫酸 | ◎ |
次亜塩素酸ソーダ | ◎ | リチウムグリス | ◎ |
四塩化炭素 | × | リグロイン | × |
シリコングリス | ◎ | トリエチルアミン | ◎ |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
主な使用箇所
取扱注意点
〒130-0021
東京都墨田区緑3丁目4番10号
桜シール本社ビル