フロロパワー(Fluoro-Power)®シリーズに属するFFKM(パーフロ)ゴム材質のノンフィラー耐熱タイプであるフロロパワーFFN(Fluoro-Power FFN/FP-FFN)は、一切の充填材を含まないノンカーボン・ノンメタルのOリング用のゴム材質です。チタンのような重金属は無論のこと、白色標準タイプのフロロパワーFFWなどに白色充填材として用いられているバリウムなども一切含まれていないことから、非常に優れた低パーティクル性を実現しています。また、基材のパーフルオロエラストマー(FFKM)に由来する耐薬品性の他、耐熱性についても上級グレードのフロロパワーFFSに次ぐ300℃クラスの性能を有しています。
フロロパワーFFNは、半導体製造や液晶製造といった電子産業のドライプロセスに向けて、金属パーティクル抑制に焦点を当てた設計が為されています。その耐プラズマ性に拠って、ラジカル化した反応性ガス(フッ素ラジカルや塩素ラジカル、臭素ラジカルなど)環境下ではフロロパワーFFSWやフロロパワーFFW、フロロパワーAPHWと並んで有効な選択肢になり得ます。但し、酸素(O2)ラジカル環境下ではプラズマ専用グレードの方が適しているなど、相性によって寿命が大きく左右されることが御座います。適切な選定に向けては、必要に応じてご相談ください。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
* フロロパワー(Fluoro-Power)®は、桜シール株式会社の登録商標です。
フロロパワー(Fluoro-Power)®ほか、カルレッツ(Kalrez)®などの各メーカーが掲げる高機能ゴム材質は、互換的に使用できるものが多い反面、特定の用途を目的に特別な性能が付与されているものも含まれています。相当品として取り扱う場合は、ご使用の条件などを注意深くご確認ください。
フロロパワーFFNの測定値
試験種類 | 項目 | フロロパワーFFN |
---|---|---|
常態物性試験 | 硬度 (JIS-A) | 67 |
引張強さ (MPa) | 11.5 | |
伸び率 (%) | 221 | |
100%引張応力 (MPa) | 2.92 | |
圧縮永久歪み試験 | 試験条件 | 200℃×70時間 |
圧縮永久歪み率 (%) | 23 |
使用温度範囲
推奨値は0〜300℃です。但し、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪くなる為、シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。尚、250℃以上の環境では熱膨張が大きくなりますので、通常の溝設計よりもつぶし代を小さめに、溝を大きめに設定することを推奨します。
圧力特性
最高圧力の推奨値は4MPaです。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性はバックアップリングの併用で向上させることが出来ます。
耐薬品性
極めて優れており、あらゆる薬品に使用することが可能です。Oリングの耐薬品性 (接触流体と材質の適合性)にてより多くの液体や気体に対する耐性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
アセトアルデヒド | ◎ | 四塩化炭素 | 〇 |
アセトン | ◎ | ジクロロメタン | ◎ |
アニリン | ◎ | ジメチルアセトアミド | ◎ |
アンモニア水 | ◎ | ジエチルエーテル | ◎ |
IPA | ◎ | 100℃水蒸気 | ◎ |
エタノール | ◎ | テトラクロロエチレン | 〇 |
エチレングリコール | ◎ | テトラヒドロフラン | ◎ |
エチレンジアミン | ◎ | トリクロロエチレン | 〇 |
N-メチル-2-ピロリドン | ◎ | トルエン | ◎ |
塩酸 | ◎ | ブチルアセテート | ◎ |
王水 | ◎ | フッ酸 | ◎ |
過酸化水素水 | ◎ | フレオンR134a | × |
苛性カリ | ◎ | 不活性フッ素オイル | × |
苛性ソーダ | ◎ | ヘキサン | ◎ |
キシレン | ◎ | ベンゼン | ◎ |
クロロホルム | 〇 | ホルマリン | ◎ |
酢酸 | ◎ | 水 | ◎ |
酢酸エチル | ◎ | メタノール | ◎ |
硝酸 | ◎ | MEK | ◎ |
次亜塩素酸ソーダ | ◎ | メチルイソブチルケトン | ◎ |
ジオキサン | ◎ | モノエタノールアミン | ◎ |
BCl3 | ◎ | 硫酸 | ◎ |
CF4 | ◎ | SF6 | ◎ |
CHF3 | ◎ | SiF4 | ◎ |
ClF3 | ◎ | SiH4 | ◎ |
HBr | ◎ | TEOS | ◎ |
NF3 | ◎ | Ti2Cl4 | ◎ |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
主な使用箇所
取扱注意点
〒130-0021
東京都墨田区緑3丁目4番10号
桜シール本社ビル