VMQ-70(4種C/4C/シリコン)は、広い温度帯域で使用可能な耐熱性と耐寒性を保持し、耐候性なども有しているOリング用のゴム材質です。しかし、原材料であるシリコンゴムの特性から耐油性や物性といった側面は芳しくなく、耐圧性などは極端に劣っています。尚、色調については、識別を目的として赤色や青色、白色といった顔料が用いられていますが、着色による性能への影響は殆どありません。但し、標準色が半透明色(シリコン原色)のVMQ-50(SI50)を互換使用する場合は、硬度の差異に注意が必要です。規格(JIS B 2401)材質としては、規格値と共に正式名称が4種C(4C)からVMQ-70に更新されて久しいですが、未だに旧規格の名称も常用されています。
* Oリング以外でも様々な形状の製作が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
JISB2401で規定される規格値
規格(JIS B 2401)材質の中では使用可能な温度の範囲が広いこの材質は、名称が4種C(4C)からVMQ-70に更新されて久しいですが、未だに旧規格の名称も常用されています。尚、現JIS規格(JISB2401:2012)で規定される「VMQ-70」と旧JIS規格(JISB2401:2005)で規定される「4種C」では規格値が異なります。但し、VMQ-70は一部で合理性に欠ける基準値を含む為、現時点の桜シールOリングでは、4種Cの基準値を採用しています。
試験種類 | 項目 | 現JIS JIS B2401:2012 VMQ-70 | 旧JIS JIS B2401:2005 4種C |
---|---|---|---|
常態物性試験 | 硬度 (JIS-A) | 70±5 | 70±5 |
引張強さ (MPa) | > 3.5 | > 3.4 | |
伸び率 (%) | > 60 | > 60 | |
100%引張応力 (MPa) | ― | ― | |
耐熱老化試験 | 試験条件 | 230℃×72時間 | 230℃×24時間 |
硬さ変化 | < +10 | < +10 | |
引張強さ変化率 (%) | > -10 | > -10 | |
伸び変化率 (%) | > -25 | > -25 | |
圧縮永久歪み試験 | 試験条件 | 175℃×72時間 | 175℃×22時間 |
圧縮永久歪み率 (%) | < 30 | < 30 |
使用温度範囲
推奨値は−50〜200℃です。広い温度域での使用が可能ですが、最高温度域での継続使用は熱硬化による破損が生じやすく、寿命が短くなります。また最低温度域ではゴム弾性が悪くなる為シール性が下がってしまいます。ご注意下さい。
圧力特性
最高圧力の推奨値は0.5MPaで、芳しくありません。但し、諸条件によって数値は異なります。尚、耐圧性はバックアップリングの併用で向上させることが出来ます。
耐薬品性
シロキサンに耐油性が無いことをはじめ、あまり優れてはいませんが、不活性流体のシールには向いています。Oリングの耐薬品性 (接触流体と材質の適合性)にてより多くの液体や気体に対する耐性の一覧を掲載しておりますので、下表と併せて参考にして下さい。
薬品名 | 耐性 | 薬品名 | 耐性 |
---|---|---|---|
亜硫酸ガス | × | スピンドル油 | △ |
アンモニア水 | × | 100℃水蒸気 | 〇 |
IPA | 〇 | 150℃水蒸気 | 〇 |
エタノール | 〇 | 灯油 | × |
エチレングリコール | △ | トルエン | × |
エマルジョン系作動油 | △ | 動物油 | × |
塩酸 | × | ナフサ | × |
エンジン油 | △ | フッ素オイル | ◎ |
オゾンガス | ◎ | フッ酸 | × |
過酸化水素水 | △ | フレオンR134a | × |
苛性ソーダ | △ | ブレーキフルード(エーテル系) | × |
ガソリン | × | ベンゼン | × |
カップグリス | △ | マシン油 | △ |
ギア油 | △ | 水 | ◎ |
軽油 | × | 水(100℃) | 〇 |
酢酸 | △ | 水系切削油 | △ |
硝酸 | × | MEK | × |
植物油 | △ | りん酸エステル系作動油 | △ |
次亜塩素酸ソーダ | × | 希硫酸 | △ |
シリコングリス | × | リチウムグリス | × |
◎:使用可 〇:多少の影響有り △:あまり推奨しない ×:使用不可
注)上記は参考データです。温度や圧力、その他の条件によって使用可否は変化します。
主な使用箇所
取扱注意点
〒130-0021
東京都墨田区緑3丁目4番10号
桜シール本社ビル