偏心量とは、機械や装置の運転中に回転している軸(シャフト)が振れる量のことを指します。「軸振れ(軸偏心)」と「回転振れ(取付偏心)」の合計で求められ、一般に各値はTIR(Total Indicator Reading)で表されます。オイルシールは運動面シールの中でも回転動で用いられるパッキンである為、偏心量が大きいとリップ先端が回転軸に追随し切れなくなり、漏れを誘発してしまいます。ここでは、偏心量を構成する2種類の振れを図解で説明した上で、偏心限界量の目安を提示いたします。オイルシール取付部の設計や加工に係る指標として、参考にして下さい。
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軸振れ(軸偏心)
軸振れ(軸偏心)とは、「軸の中心」と「軸の中心が回転した軌跡の中心」との間に生じるズレのことで、軸を製作した際の誤差に起因します。一般に2つの中心から導き出される軸偏心量の2倍を指し、ダイヤルゲージ計測の読み値(TIR)がそのまま適用されます。
回転振れ(取付偏心)
回転振れ(取付偏心)とは、「ハウジング穴の中心」と「軸の中心が回転した軌跡の中心」との間に生じるズレのことです。軸振れと同じく、一般に2つの中心から導き出される軸偏心量の2倍を指し、ダイヤルゲージ計測の読み値(TIR)がそのまま適用されます。
偏心限界量の目安
偏心限界量とは、オイルシールのリップ先端が回転軸に追随し切れなくなる限界の偏心量を指します。以下は、日本国内で最も一般的な型式(形状の規格)であるJIS B 2402のタイプ1(SC型/NOK、MHS型/KOYO、M2型/桜シール)、タイプ2(SB型/NOK、HMS型/KOYO、X2型/桜シール)、タイプ4(TC型/NOK、MHSA型/KOYO、M型/桜シール)、そしてタイプ5(TB型/NOK、HMSA型/KOYO、X型/桜シール)について、特定の条件下に於ける偏心限界量の参考値をグラフでまとめたものです。但し、オイルシールの偏心限界量には、オイルシールの型式や寸法、材質といったオイルシールに係る要因だけでなく、軸の精度や温度、回転速度などといった様々な要因が複合的に影響します。偏心限界量を正確に定めることは極めて困難なことなので、参考としてご活用ください。
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