Uパッキン・ダストシール・Yパッキン

Uパッキン(Yパッキン)

Uパッキン・ダストシール・Yパッキンのまとめです。種類や材質、取扱、保管について他、スリッパーシールについても図入りで解説します。Uパッキンやダストシールの選定や設計、使用に役立てて下さい。

 

 

>>>Uパッキン・ダストシール・Yパッキンの製品情報

 

Uパッキンとは、油空圧用のロッドやピストンなどのシリンダー部に使用されるリップ形のシール材のことで、断面形状がY字にも見えることから、各メーカーによってUパッキン、Yパッキンの2つの呼び名が有ります。ダストシールは、外部からのダストの侵入を防ぐために使用されるパッキンです。ロッドの油を掻き出す目的で使用される場合もありますが、油の掻き出し作用と耐ダスト性は相反するため、どちらに重点を置くかにより選定が必要です。

 

[Uパッキン・ダストシール・Yパッキンの種類]

各パッキンには用途に応じて下記のような種類が有ります。

  • ロッド用シール
  • ピストン用シール
  • ロッド、ピストン共用シール
  • ダストシール


[Uパッキン・ダストシール・Yパッキンの主な材質]

各パッキンに使用される主な材質は下記とおりです。

 1,NBR(ニトリルゴム)

油圧、空圧ともに用いられる最も一般的な材質です。耐油性が高く、ある程度までの圧力にも耐える強度を持っています。但し、耐熱性は低く、高温部での使用には適しません。

 2,U(ウレタンゴム)

強度、磨耗性が非常に高く、主に高圧部や過酷な摺動部に用いられます。但し、低圧部などではシール性がNBRよりも劣ることがあります。また耐熱性は低く、耐水性が無いので空圧ではあまり使用されません。


その他、耐熱材としてFKM、耐圧材としてH-NBRなどがあり、シール流体によってはその他各種ゴム材を使用することもあります。


[Uパッキン・ダストシール・Yパッキンの取り扱いと保管上の注意]

  • 使用時まで開封しないでください。ごみの付着や異物、傷が付く恐れがあります。
  • 一度開封した製品を保管する場合は、できるだけ元の通りに包装し、密封して保管してください。
  • 直射日光や蛍光灯などの光源を避け、湿度の低い場所に保管してください。湿気や紫外線は、ゴム材質の劣化や寸法変化を促進することがあります。
  • 風通しの少なく、高温にならない場所に保管してください。熱により、ゴム材料の劣化が促進することがあります。
  • フックなどに掛けたり、紐に通してぶら下げての保管は避けてください。パッキンの変形の原因となります。
  • 放射線やオゾンの発生する場所、電動機(コピー機など)の近くでは保管しないでください。
  • ごみやほこり、油が附着しない環境で保管してください。

 

[関連製品]

Xリングとは、断面がX形状のシール材で、4か所の先端部がそれぞれリップの機能をもっています。Oリングと比べて捩れ難く、またリップ間でグリスなどの潤滑剤を保持する働きが有り、補助シールとして有効に作用します。

ピストン部の軸受材として潤滑性を高め、偏心を弱めることでパッキンを保護する役割を持っています。

高圧でUパッキン、Yパッキンを使用する場合、はみ出しを防止するために用いる補助材です。

 

>>>Uパッキン・ダストシール・Yパッキンの製品情報

スリッパーシール

スリッパーシールとは、OリングとPTFE製リングを組み合わせたシール材です。動的部分に於いて、Oリングのみでの使用時と比べ、摩擦抵抗を小さくすることができます。また、低圧、低速でもスティックスリップ現象(摩擦によって生じる振動現象)を抑えることができます。

使用するOリングの材質は、使用環境により選定する必要があります。

>>>Oリング材質一覧はこちら

スリッパーシール(ピストン用).jpg

外径摺動用スリッパーシール
ピストン用

スリッパーシール(ロッド用) .jpg

内径摺動用スリッパーシール
ロッド用

各メーカーでの名称は下記のとおりで、形状についても若干の違いがあります。

三菱電線工業株式会社・・・キャップシール
株式会社阪上製作所・・・STシール(STタイプ/STSタイプ)、STKシール(STGタイプ)
NOK株式会社・・・SPGC、SPNC