Xリングのまとめです。Xリングの特性や材質、寸法、耐圧とバックアップリング、溝設計などを図入りで解説します。Xリング選定や設計、使用のお役に立てて下さい。
Xリングとは、断面がX形状のシール材で、4か所の先端部がそれぞれリップの機能をもっています。Oリングと比べて捩れ難く、またリップ間でグリースなどの潤滑剤を保持する働きが有り、補助シールとして有効に作用します。
[Xリングの形状と特性]
[Xリングの主な材質]
Xリングの材質は、ゴムOリングの材質であれば、全て製作可能です。ただし、一般的によく使用される材質はNBR(ニトリルゴム)及びFKM(フッ素ゴム)のため、特殊材質等については、金型からの製作となる場合もあります。
>>>Oリング材質一覧
[Xリングの設計]
Xリングの仕様
圧力 | 最高約40MPa(運動用に使用する場合は15MPa) |
速度 | 最高約0.5m/s(往復運動) |
Xリングの寸法選定
◆外径シールで使用する場合
①対応する溝内径と同寸法にする
②対応する溝内径を2%より小さくする
◆内径シールで使用する場合
①対応するロッド外径と同寸法にする
②対応するロッド外径より約0.2〜0.3㎜大きくする
③対応する軸直径より約1%大きくする
※③で選定すると組み付けが容易になります。
◆固定用シールとして使用する場合
断面が比較的小さいXリングでも使用可
◆運動シールとして使用する場合
断面が大きいXリングを使用
→シール性に富み、圧縮永久歪みがより小さくなる。
また、摩耗しにくく、許容公差範囲がより広くなる利点がある。
◆回転シールとして使用する場合
①Xリングの内径が軸径よりも2〜6%大きいXリングを選定
②高圧下で使用する場合は、バックアップリングを併用する
※Xリングを回転軸のシールとして使用する場合、往復運動と同様の設計で使用すると、摩擦によりXリングが収縮し、回転軸に対する締め付け力が増大し、摩耗が大きくなり、不具合の発生につながります。
そのため、下記事項を参照し、テストを行った上で使用してください。
◆高圧下で使用する場合
Xリングを高圧下で使用する場合は、バックアップリングを併用すると効果的にシールできます。
バックアップリング1個使用の場合
バックアップリング2個使用の場合
Xリングの溝設計
Xリングの溝形状は長方形で、側面の最大許容角度は5°です。溝の底面にはR(アール)を設置し、挿入口部は、糸面取りもしくはR(アール)取りをします。
溝部詳細
W:Xリング幅 ID:内径 OD:外径 d:軸径 G:溝幅 D:溝外径
溝深さ: 溝深さの値は、ピストンが偏心している場合、もしくはピストンロッドが座屈する場合は、溝深さを標準より浅くするか、しめ代を大きくしてください。真空や低圧で使用する場合も同様です。
溝幅: Xリングが膨潤する恐れがある場合には、溝幅を最高約15%増大してください。
※これらのデータはあくまで参考値ですので、テストを行った上で使用可否を判断されることをお奨めします。
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