グランドパッキンのまとめです。カットの種類や材質、切断、取付、保管方法などを解説します。グランドパッキン選定や設計、使用にお役立て下さい。
グランドパッキンとは、一般的に断面が角形で紐状の軸封部品です。グランドパッキンは、軸が回転する機器やプランジャーポンプ(ピストンポンプ)のように軸が往復運動をする軸や、バルブステムのようにヘリカル運動(ら旋運動)をする軸に対して、圧力の加わった流体が、機器の外部へ流出するのを防ぐために使用されます。
JIS規格では、JIS B0116:1978で「一般的に断面が角形で、スタッフィングボックスに詰め込んで用いられるパッキンの総称」として定義されています。
[グランドパッキンの種類]
主なグランドパッキンのカット形状は2種類です。
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ストレートカット | バイアスカット(45°) |
カット面が真っ直ぐなので、長さ調節が容易 | 合わせ面が広いため、より締め付けることができる |
[グランドパッキンの材質]
グランドパッキンには次のような材質があります。
◆ブレードパッキン(編組パッキン)
ポンプ用、回転機用として用いられるグランドパッキンで、繊維糸を編み組んで紐状にしたものに潤滑剤を処理したり、ゴムや樹脂を含侵させたグランドパッキン。編み方には、八つ編み、袋編み、格子編みなどがある。
◆積層パッキン
布とゴムを交互に積層したり、巻き込んだりしたグランドパッキン。交互面が軸に接するようにして使用される。
◆金属箔パッキン
金属箔のリボンを使用し、適当に、巻き重ねたり、組み合わせたグランドパッキン。
◆黒鉛パッキン
黒鉛のテープを巻き込んだり、黒鉛のシート打ち抜いたりしたグランドパッキン。アダプタパッキンと併せてバルブの弁棒シールなどに用いられる。
※その他、特殊なグランドパッキンとして、注水式グランドパッキンなどがあります。
[グランドパッキンの選定]
グランドパッキンは、次のような環境条件によって選定する必要があります。
- 軸の回転の種類
- 軸の回転数
- 圧力
- 流体
- 温度
※回転ポンプ軸用としてグランドパッキンを使用する場合は、摺速も考慮する必要があります。
摺速の算出方法は下記の通りです。
V = πDN / 60,000 | V:摺速(m/s) D:軸径(o) N:回転数(rpm) |
[グランドパッキンの切断と取り付け]
- グランドパッキンをカットする際は、よく切れる工具を使用し、パッキンの長さは下記の通り設定してください。
パッキン長さ = π / 2 (軸径 + スタッフィングボックス内径) × 1.03〜1.05 パッキン長さ = 1.62〜1.65 × (軸径 + スタッフィングボックス内径) ☆グランドパッキンは、シールにおいて長さが重要なポイントとなります。 |
- 古いパッキンは全て取り除きます。パッキン押さえを使用して取り付ける場合は、軸にきずを付けないように注意します。
- 装着の際、グランドパッキンの数及び組み合わせ方法をよく確認します。
- グランドパッキンの切り口の両端が、必ず全面が突き合わされるようにし、1リングごと隙間なく、奥まで締め付けながら取り付けます。 その際、パッキンの切り口を90°〜120°ずつずらしながら取り付けてください。
*スタッフィングボックス・・・ポンプの軸貫通部に取り付けられるパッキンを詰めるための箱。
※特殊な場合、パッキンのはみ出し、浸透漏れ、背漏れを防ぐためにスペーサーリングを使用することもあります。
[グランドパッキンの保管方法]
- 使用時まで開封しないでください。ごみの付着や異物、傷が付く恐れがあります。
- 一度開封した製品を保管する場合は、できるだけ元の通りに包装し、密封して保管してください。
- 直射日光や蛍光灯などの光源を避け、湿度の低い場所に保管してください。
- 風通しの少なく、高温にならない場所に保管してください。
- フックなどに掛けたり、紐に通してぶら下げての保管は避けてください。
- 放射線やオゾンの発生する場所、電動機(コピー機など)の近くでは保管しないでください。
- ごみやほこり、油が附着しない環境で保管してください。
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