Oリングのブルーミング現象 (ブルーム/ブリード)

ブルーミングとは、長時間に亘って保管されたOリング(ゴム材)に生じる現象のひとつです。ブルーム (bloom) とも呼ばれ、Oリングの表面に配合剤が移行して結晶化し、白い粉となって現れます。同じ原理で粉に換わって液体がにじみ出てくる現象はブリード (bleed) といいます。技術資料としてこの現象の原因と役割を掲載いたしますので、予備知識としてOリング選定や使用の際にお役立て下さい。

 

 

[ブルーミング現象 (ブルーム/ブリード) の原因]

ブルーミング現象の主原因は、ゴムコンパウンドを作製する際に添加される老化防止剤(硫黄系化合物、アミン系化合物ほか)などの配合剤の相溶性が、原料ゴムに対して低いことであると考えられています。しかし実際には相溶性だけでは説明できないことも多く存在し、現時点では理論的な完全解明はなされていません。

混練工程に於いては、材料の温度が高いことから配合剤が溶解し易く、ブルーミング現象が発生することは殆どありません。しかし、Oリングやパッキンといったゴム製品に成形されて常温に戻ると、溶けていた配合剤がゴムの表面に出ようとして発生し易くなります。尚、加硫が不足している場合や加硫直後に急激な冷却をした場合にも発生することがあります。

 

[ブルーミング現象 (ブルーム/ブリード) の役割]

悪影響に思えるブルーミングですが、不良ではありません。むしろ使用上の問題が無いばかりか、実は重要な役割をも果たしています。ゴム材の劣化は種類や環境によって大きく異なるものの、空気中に含まれる酸素やオゾン、紫外線などによっても進行しますが、ブルーミングによる配合剤の表面被覆はそれらからゴム材を保護し、耐候性を向上させる効果があるのです。その他にも表面潤滑性を向上させる効果などもあり、そういった効果を狙ってわざと配合剤をブルーミングさせた製品も存在します。

使用されている配合剤はOリング材質によって異なるため、ブルーミングの仕方や含有物質もそれぞれ異なりますが、前述のとおりブルーミングがOリングの使用上で悪影響を与えることはありません。しかし、どうしても気になる場合は、アルコール類等で拭き取って除去することも可能です。